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日没国物語
原秀雄

         人生は食、衣、住、性、遊、夢――その混沌と坩堝《るつぼ》、
        その行きつくところは無、あるいは空《くう》。
         その生のほとんどを食に終える者もあれば夢に終える者もある。
        夢にも――一片のパンから人類救済までの無数がある。
         この書はすべての夢を追って書かれたものである。

一章  日没国に入る
            国境の石壁越え  日没国の起こり  国境の密林に迷う
            日没国人に救われる  山里の農家に泊められる

二章  首都への道
            アキラの自動車運転 気楽な捕虜 日没国の名の由来
            ゼロ道路――終わりのない道 交通戦争の話

三章  ゼロ道路の風景
            少年少女の自転車旅行隊 村や町の旗 赤地に白丸の国旗
            子供の徒歩旅行隊 アワビ村のある家 首都に着く

四章  副人民代表委員(FJDI)イムラ・カン
            FJDIの尋問 第一号の国賓 不法入国の動機
            軍隊・警察のない国 FJDIとの夕食

五章  日没国の創世記
            一九四五年の敗戦の荒廃 「大飢餓」 「人間戦争」
            政党の争い 「大飢餓会議」 新政府の成立

六章  森のなかの小さな首都
            朝の散歩 ボロ建物の官庁 新しい首都の構想
            四つの州――真理・平和・友愛・平等と名づけられた州

七章  人民代表委員(JDI)との会見
            二人の老人――ナンブ・ジロベエとツガル・サンエモン
            月給三十円の貧しい大臣 勲章のない将軍

八章  日没国根本法についてのJDIの講話
            第一原則――自然に対する謙抑 第二原則――人口抑制
            第三原則――欲望の節制 いちばん貧しかった村へ

九章  山のなかの小さな汽車駅まで
            レイの自動車運転 法律問答 ぜンマイ村ゆきを知る
            日没国の学校――幼年・少年・青年学校と研究所の話

一○章 汽車の旅
            赤アリ村のほら吹き駅長 六十歳からの自由人
            広告のない景色 商人国と百姓国 温泉の休養所

一一章 ゼンマイ村
            ケンの歓迎 ケンの家のなか ヒロシおじさんとイネおばさん
            村のあらまし――五つの区・村のJDIのことなど

一二章 自然は自然のもの
            ケンの家のまわり 家は人民のもの 「自然は自然に返そう」運動
            家賃・税金・役人がない国 ケンの読書 第二の仕事

一三章 区の食堂での歓迎晩さん会
            ケンの四区案内 家のつくりかた 区の幼年学校 スポーツの話
            教員になる資格 主食はタダ 区の中心地のようす すてきな晩さん会

一四章 寄生虫の話・文字改革
            朝の草刈りと馬乗り 五時間労働と寄生虫の話
            ヒロシおじさんの第二の仕事 へんな略字 警察がないわけ

一五章 『小人民行進曲』・谷川の泳ぎ
            谷川へゆく道 フライパンのなかのいりマメ ヤマユリの咲く切り通し
            『小人民行進曲』を聞く 村の養魚池 ケンの泳ぎ 早瀬くだり

一六章 おカネのいらない国
            森の下草刈り 腕時計の修理代 日本のカネと労働券 銀行がないわけ
            カネの貸し借りはいやしいこと 人間を支配する悪魔――カネの追放

一七章 ゆうゆうジャーナリズム
            なまけラジオ 放送戦争 ラジオクラブ テレビのない国のテレビクラ
            ブ 雑誌『夕日』と新聞『友愛報』 日本への復帰問題

一八章 キムじいさん
            マメ台風の訪れ ゴロイチじいさんの棺おけ キムじいさんの話――
            強制連行・強制労働・脱走・「人間戦争」参加など

一九章 ゴロイチじいさん
            台風問答 ゴロイチじいさんの財産解放 長いながい書き置き
            人生の四季の話――春と真理・夏と友愛・秋と平等・冬と平和
            戦争以上の人殺し

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